社長特定技能で人を呼ぶと、結局いくらかかるんだ?人材会社に聞いても「ケースによります」としか言わないんだよ。



金額が決まっている分と、交渉できる分を分けて見ると読めますよ。
海外から特定技能で1人を呼ぶ場合、初年度にかかるお金の目安は、給料とは別に、おおむね70万〜220万円です。幅が広いのは、中身が2種類のお金でできているからです。
この記事は、私の採用体験談ではありません。公表情報と民間の相場を、社長が見積りを読めるように並べ直したものです。いちばん誤解が多いと感じるのがこのお金の部分なので、わかりやすいようにまとめてみました。
この記事は2026年9月時点の情報です。査証(ビザ)の手数料は2026年7月1日に大きく変わり、在留手続きの手数料は2026年10月1日に変わります。金額は目安になります。
特定技能の費用は「国に払う分」と「会社に払う分」に分けると見える
コツは、項目ごとに「国に払うお金か、会社(人材会社・登録支援機関・行政書士・大家さん)に払うお金か」を分けることです。
① 国に払うお金(金額が決まっている)
| 項目 | いつ・誰に | 金額 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請 | 来日前・入管庁 | 手数料なし |
| 査証(ビザ) | 来日前・現地の日本大使館 | 一次有効で約15,000円 |
| 在留期間の更新 | 在留期限ごと・入管庁 | 1年なら33,000円/3年なら64,000円(2026年10月1日以降) |
(入管庁=出入国在留管理庁。いずれも公式に公表されている額です。査証は2026年7月1日以降の額で、現地通貨払い。国籍・目的で異なる場合があり、現地の申請センター経由なら取次ぎ手数料が別にかかります。更新はオンライン申請なら1年27,000円・3年56,000円で、決済手数料が330円または550円。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、一律6,000円のままです)
② 会社に払うお金(交渉次第で動く)
| 項目 | いつ・誰に | 目安(海外から1人) |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 採用時・人材会社 | 10万〜80万円(多いのは20万〜60万円) |
| 送出機関の手数料 | 採用時・現地の送出機関 | 0〜70万円(海外から呼ぶ場合のみ) |
| 在留資格申請の書類作成 | 来日前と更新のたび・行政書士 | 認定申請8万〜20万円/更新2.75万〜10万円(多いのは3万〜6万円) |
| 支援の委託費 | 毎月・登録支援機関 | 月1.5万〜3万円+初期導入5万〜10万円程度 |
| 渡航費・来日前健診 | 来日前・航空会社や現地の病院 | 片道数万〜十数万円+健診5,000円〜1万円 |
| 住居の初期費用 | 来日前後・大家など | 新しく部屋を用意するなら20万〜50万円 |
(登録支援機関=特定技能の外国人の生活を支援する、国に登録された会社。いずれも2026年9月に筆者が民間サイト3社以上を見比べた相場です。冒頭の70万〜220万円は、この初期費用の幅(50万〜180万円)に、月額(1.5万〜3万円)の12か月分を足した目安)
もうひとつ、分野別協議会(業種ごとに国が作らせている受け入れ企業の集まり。加入が受け入れの条件)の費用があります。分野で扱いがまったく違います。
- 工業製品製造業(町工場に多い分野):JAIM(工業製品製造技能人材機構)への加入が必要で、年会費6万〜8.3万円(2026年9月時点)
- 建設:JACへの加入が必要で、受入負担金が1人月12,500円+会費
- 介護は無料、食品産業は当面無料と公式に明記。その他の分野は各協議会にご確認を
押さえてほしいことが3つあります。
1つ目、国に払う分は小さい。査証約15,000円と初回の更新(1年の許可なら33,000円、3年なら64,000円)を足しても10万円に届きません。更新は在留期限ごとなので、3年もらえれば回数も減ります。ただし更新の手数料は、2026年10月1日から在留期間の長さで決まる方式に変わります。それまでは一律6,000円です(9月30日までの受付分)。
2つ目、「行政書士」の欄は、登録支援機関に丸投げできる費用ではありません。報酬を受け取って申請書類を作れるのは行政書士(と弁護士)だけです。会社自身や本人が自分で作るのは自由です。2026年1月1日施行の改正行政書士法で「名目を問わず報酬を得て」作ることの禁止がはっきり書かれました。見積りでは、誰が書類を作るのかを確認してください。
3つ目、バングラデシュから呼ぶ場合、送出機関の利用は任意です(出入国在留管理庁の手続き解説より。使うなら政府認定の機関に限られます)。そして、本人がいくら払って来るのかは、社長にとっても他人事ではありません。母国で大きな借金を背負って来た人ほど、後で無理が出ます。上限額は公式資料では確認できませんでした。送出機関を使うなら、本人側の負担額も必ず聞いてください。
初年度の特定技能の費用を、1人目で全部足してみる
給料はいったん別にわけて、まず「特定技能だから追加でかかるお金」だけを足します。
- 初期費用(来日まで):紹介料・送出機関の手数料・行政書士の報酬・渡航費・住居の初期費用など。民間各社が示す合計はおよそ50万〜180万円
- 毎月かかるもの:登録支援機関への委託費が月1.5万〜3万円。年に直すと18万〜36万円(建設なら約33万〜51万円)
- 2年目以降も続くもの:在留期限ごとの更新(入管に払う手数料+行政書士の報酬)、委託費、協議会の負担金
足すと初年度でおおむね70万〜220万円。冒頭の数字の中身です。



初期費用ばかり気にしていたが、月々の分が地味に重いな。
そうなんです。しかも委託費は、初めて外国人を雇う会社ではほぼ避けられません(理由は次章で)。
分けていた給料の話です。法律上、特定技能の人の給料は「同じ仕事をする日本人と同等以上」でなければなりません(特定技能基準省令)。外国人であることを理由に待遇に差をつけることも禁止です。
そのうえで参考値を一つ。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、特定技能の所定内給与(残業代・賞与を除く)の平均は月約22万1千円でした。
ただし、これは「払えばよい金額」ではありません。あくまで統計上の平均です。先に書いた「日本人と同等以上」が法律の要件で、最低賃金はもちろん下限になります。
給料には、会社負担の社会保険料が乗ります。各料率は公式に決まっていますが、それを筆者が単純に足すと、東京・一般の事業・40歳未満で給料のおよそ15%(業種・年齢・都道府県で変わります)。月22万円なら、給料と保険料で年間約300万円という試算です。
この300万円は、日本人を雇っても同じようにかかるお金です。「追加の70万〜220万円」とは、はっきり分けて考えてください。ここを混ぜると、特定技能だけが高くつくように見えてしまいます。
とはいえ、ここまでの数字を頭の中で足すのは大変です。自社の条件で足し直せるように、簡単な計算ツールを作ってみました。
人数・採用ルート(海外から呼ぶか、日本にいる人か)・分野・住居の用意のしかたなどを選ぶと、初期費用・毎月の費用・初年度の合計が「幅」で出ます。入力した内容はどこにも送られません。このページの中だけで計算しています。
特定技能 費用シミュレーター
人数や条件を選ぶと、初期費用・毎月の費用・初年度合計の「目安」が出ます。見積書の代わりではありません。
自社支援には要件があります(過去2年の中長期在留者の受入れ実績など)。満たせない場合は登録支援機関への委託が実質的に必須です。
建設分野は、CCUS技能者登録料・JAC年会費(会社単位)・JAC受入負担金(月額)が追加でかかります。行政書士費用も5〜10万円ほど加算されることが多いです(目安には含めていません)。
建設以外の分野別協議会費は、現在は無料とされています(介護・食品産業は公式に明記。他分野は民間情報のみ)。
住居探しの支援(情報提供・同行)は義務です。本人負担でも、家賃債務保証業者を使う場合の保証料は会社負担になります。
初期値は特定技能の平均所定内給与(令和7年賃金構造基本統計調査)を万円で丸めた額です。法令要件は「日本人と同等以上」+最低賃金で、この額でよいという意味ではありません。
初年度の合計(人数分・目安)
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上限は各項目の高い方をすべて足した「いちばん高くついた場合」の目安です。
参考:年間の人件費(1年目・目安)
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給料と会社負担の社会保険料の概算です。日本人を雇っても同じくかかる分なので、上の「初年度の合計」とは別枠にしています。
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内訳をみる(全14項目・何にいくらかかるか)
| 項目 | 1人あたりの幅 | 区分 | メモ |
|---|
在留期限が来るたびに、在留期間更新の入管手数料(1年の許可なら窓口33,000円/オンライン27,330円、3年なら64,000円/56,550円・2026年10月以降)と行政書士費用(約3〜10万円)がかかります。特定技能1号の在留期間は最長3年の範囲で個々に決まるため、回数はこの目安には含めていません。
出てくるのはあくまで目安で、見積書の代わりにはなりません(2026年9月時点の公式額と民間の相場による概算です)。それでも、人材会社の話を聞く前に「だいたいこのくらい」という感覚を持っておくと、出された金額が高いのか安いのかを考えやすくなります。
本人に負担させてはいけない費用がある——ここは法律で決まっています
夫の周りでも、ここでもめた話をいちばん多く聞きます。
安い見積りを見たら、誰かにツケが回っていないかを見てください。出入国在留管理庁の運用要領(令和8年8月版)とその別冊(支援)から主なものを挙げます(すべてではありません)。
- 支援にかかる費用:事前ガイダンス・生活オリエンテーション・定期面談の通訳費など義務的支援(法律で必ずやれと決まっている10項目の支援)の費用は、直接にも間接にも本人に負担させられません。登録支援機関への委託費も含みます
- 空港と職場・住居の間の送迎の実費:会社負担です。一方、来日の航空券代は「負担が推奨」で、義務ではありません(送り出し国側のルールで会社負担が求められる場合があります)
- 帰国の旅費:原則は本人負担。払えないときは会社が負担します。給料からの天引き積立ては不可
- 保証金・違約金:本人や家族から保証金を取る、途中で辞めたら違約金や貸付金の一括返済を求める——こうした契約があると知りながら雇うと欠格事由(受け入れができなくなる失格条件)に当たり、5年間受け入れができなくなります
住居もよく誤解されます。
- 本人が借りる → 敷金・礼金は本人負担が原則(家賃保証会社を使うなら、その保証料は会社負担)
- 会社の借り上げ社宅 → 敷金・礼金・仲介手数料を家賃に乗せて回収するのは不可。利益を得ることも禁止
家具や家電は、用意する会社が多いというだけの慣行です。
費用が下がる3つの分岐——国内在住者・自社支援・建設分野の注意
分岐1:日本にいる人を採用する。技能実習を終えた人や国内の試験合格者なら、渡航費・送出機関の手数料・住居の新規準備が消えます。民間の相場では初期費用30万〜65万円、自社の技能実習生の移行なら10万〜25万円でした。詳しくはこちらの記事を参考に。在日外国人という選択肢の記事、特定技能をわかりやすくの記事。
分岐2:自社で支援する。委託費をなくす道もありますが、過去2年間の受け入れ実績など要件があり、初めて外国人を雇う会社はまず満たせません。義務的支援の10項目を自前でこなす手間を考えると、委託より安いとも限りません。



うちは初めてだから、委託費は最初から見ておくべきか。
はい。1人目は「必要経費」として見ておくのが現実的です。
分岐3:建設分野は別枠で上振れします。(町工場の社長は読み飛ばしてOKです)JACへの加入(受入負担金1人月12,500円+会費)に加え、建設キャリアアップシステムの登録料と、国土交通省の受入計画の認定も要ります。金額は改定予定が出ているので、最新はリンク先で。
特定技能の費用を見積りで確認するときの5つの質問
見積りは会社ごとに形が違います。国の運用要領でも複数の登録支援機関から見積りを取るよう書かれています。
| # | 質問 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | この金額に何が含まれますか? | 紹介料・委託費・行政書士報酬が一式か別か |
| 2 | 初期費用の内訳は? | 送出機関手数料・渡航費・住居準備は誰の負担か |
| 3 | 後から追加請求はありますか? | 更新時の費用、通訳の追加、送迎の回数 |
| 4 | 途中で解約したら? | 本人が辞めた場合の返金・違約金(会社側の契約) |
| 5 | 本人に請求している費用はありますか? | 前章の禁止項目に触れていないか |
5番は、安い見積りほど注意してください。人材会社の選び方は特定技能の人材会社の選び方の記事へ。



国に払う分は小さい。会社に払う分の中身を聞けばいいんだな。



そうです。中身を分けて聞ける社長さんは、それだけで見積りの質が変わります。
まとめ
- 特定技能の費用は「国に払う分(小さく公式)」と「会社に払う分(大きく交渉次第)」の2種類。海外から1人呼ぶ初年度の目安は、給料とは別におおむね70万〜220万円
- 2026年は手数料の改定年。査証は7月1日から約15,000円になり、在留期間の更新は10月1日から在留期間に応じた額になる
- 本人に負担させてはいけない費用は法令で決まっている。安い見積りは、誰にツケが回っているかを確認する
次の行動は一つです。見積りを2社以上、取ってください。比べる相手がいないと、高いのか安いのかが分かりません。取ったら、上の5つの質問をぶつけてみてください。
あわせて読みたい:採用後の社会保険・年金の手続きは、外国人の社会保険の手続きは難しいの記事にまとめています。
この記事は2026年9月時点の情報です。個別の手続きは行政書士等の専門家にご相談ください。当ブログは人材の紹介・あっせんや申請の代行はしていません。金額は公式の手数料を除きすべて目安です。
出典(いずれも2026年9月19日時点で確認)
- 出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」
- 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」 (金額表リーフレット )
- 出入国在留管理庁「オンライン申請の手数料額・納付方法(2026年10月1日以降)」
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(別冊)
- 出入国在留管理庁「バングラデシュ国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ」
- 外務省「査証手数料」(2026年7月1日以降)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」在留資格区分別にみた賃金
- 全国健康保険協会「令和8年度 都道府県別保険料率」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」
- 厚生労働省「令和8年度の労災保険率について」
- 建設技能人材機構(JAC)「年会費と受入負担金」
- 建設キャリアアップシステム「申請(料金)」
- 国土交通省「申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野)】」
- 工業製品製造技能人材機構(JAIM)「入会について」
- 国際厚生事業団(JICWELS)「介護分野の協議会 費用Q&A」
- 農林水産省「食品産業特定技能協議会」
- 総務省「行政書士制度」
- 日本行政書士会連合会 会長談話(改正行政書士法の趣旨)
※民間の相場(人材紹介料・委託費・行政書士報酬・渡航費・住居初期費用)は、2026年9月に筆者が民間サイト3社以上を見比べた幅で、個別サイト名は挙げていません。








