バングラデシュ人材と聞くと、「工場や建設現場で働く人たち」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
そのイメージは半分正しくて、半分古くなっています。バングラデシュ人材にはIT分野で働く人も一定数います。ただし、中小企業が特定技能などで採用したい層とは、必ずしも重ならないというのが実情です。
業界の人うちの周りでもバングラデシュ人材、増えてますよね。IT人材もいるって聞くけど本当ですか?



本当です。でも「IT人材が増えている」というニュースだけを見て、御社の採用計画に直結すると思うと、そこは注意が必要かもしれません。
バングラデシュ人材=肉体労働、というイメージの半分以上は当たっている
正直に言うと、このイメージ自体は間違っていません。夫の周りでも、日本で働く仲間の多くは製造業や建設業についています。特定技能という制度自体が、人手不足の分野(建設・製造・介護など)を対象にしているので、統計的にもその層が厚くなるのは自然なことです。



じゃあ「IT人材もいる」って話は、話半分ってことですか?



半分というより、「いることはいるけれど、御社が今欲しい層とは別の話」というのが正確です。
IT人材、たまに見かけます
ここからはわたしの体感の話です。統計を持っているわけではありませんが、ITエンジニアとして働くバングラデシュ人を、夫の周りやニュースで見かけることがたまにあります。バングラデシュには理系の大学もあり、ソフトウェア開発の仕事に就く人は一定数いるようです。
ただ、ここが業界の方にこそお伝えしたいポイントです。中小企業が特定技能などの制度で求めているのは、多くの場合、現場ですぐ働ける人材です。IT系の人材は、そもそも来日ルートも待遇の相場も別物で、同じ「バングラデシュ人材」という言葉でくくると、採用計画がずれてしまいます。
| 層 | 主な来日ルート | 中小企業の採用ニーズとの関係 |
|---|---|---|
| 現場系(製造・建設・介護など) | 特定技能・技能実習 | ここが直接マッチする |
| IT系 | 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など) | 別枠。採用ハードルも待遇相場も異なる |
「バングラデシュ人材=多様な人がいる」ことと、「自社の採用計画にどう活かせるか」は分けて考える必要がある、というのが正直なところです。
「ゼロを発見したのは自分の国だ」という誇り
もうひとつ、夫やその周りの人たちからよく聞く話があります。「数字のゼロを発見したのは、自分たちの国の人間だ」という誇りです。
日本ではゼロの発見というと「インド」を思い浮かべる方が多いと思います。わたし自身も、調べるまではそう思っていました。実際、数学の歴史としては、ゼロという概念が体系立てて使われるようになったのはインド亜大陸とされています。ただし、当時のその文明圏には、現在のバングラデシュにあたるベンガル地方も含まれていました。国境が今とは違う時代の話なので、「インドか、バングラデシュか」を厳密に分けること自体が難しいというのが実情です。



それ、学校とかで習うんですか?



夫をはじめ複数の人が同じように言うので、おそらく学校教育の中でそう教わっているのだと思います。真偽よりも、「自分たちのルーツに誇りを持っている」という事実そのものが興味深いところです。
この「誇り高さ」自体は、以前の記事プライドと採用人数でも触れた、バングラデシュ人材の気質のひとつです。IT人材のような専門職を目指す人が一定数いる背景にも、こうした学びへの誇りが関係しているのかもしれません。
だから雇う側にとってどういう意味があるか
現地の文化紹介で終わらせず、雇う側の実利につなげます。
- 「IT人材もいる」という情報を、現場採用の話と混同しない。 別の採用市場だと理解した上で、自社に必要なのはどちらかを見極める
- 「誇り高い国民性」は、教育や成長機会への意欲にもつながっている可能性がある。 現場人材であっても、学ぶ機会や成長を実感できる仕組みは定着につながりやすい。
- 一次情報として、業界内の「バングラデシュ人材=単純作業要員」という固定観念は、そろそろアップデートが必要。ただし過大評価もせず、実態に合わせて採用戦略を立てることが大事
まとめ
- バングラデシュ人材には現場系だけでなくIT系で働く人もいるが、中小企業が採用したい層とは別の市場であることが多い
- 「ゼロの発見は自分たちの国」という誇りは複数の人から聞く話で、歴史的にも地域が重なっていたことは事実だが、厳密な国境で語れる話ではない
- 「多様な人材がいる」ことと「自社の採用計画に合うか」は分けて考える
次に読んでいただきたいのは、そもそもバングラデシュ人材が持つ気質・誇りについてまとめたプライドと採用人数の記事です。
※本記事の内容は、わたし個人の体験・伝聞に基づく実感です。数学史の詳細や採用市場の全体像については、専門機関の情報も合わせてご確認ください。



