MENU

外国人採用の費用は近所で下がる——海外より先に検討したい話

社長

求人を出しても人が来ない。かといって海外から呼ぶとなると、費用も時間もかかりそうで、うちみたいな町工場には荷が重い気がするんだよな……。

答えから言いますね。海外から人を呼ぶ前に、検討する価値のある選択肢があります。それは、すでに日本に住んでいて、就労に制限のない外国人を雇うことです。技能実習や特定技能のように、監理団体や登録支援機関への費用が継続的にかかるルートとは、費用の構造そのものが違います。

私はバングラデシュ人の夫と30年以上暮らし、企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきました。夫自身、日本で仕事を探した経験があります。その一次体験も交えてお話しします。

目次

外国人採用の費用、「海外から呼ぶ」と「近所で雇う」は別ルートです

外国人を雇うというと、多くの方が「技能実習」や「特定技能」で海外から呼ぶ方法をまず思い浮かべます。ですが、日本にはすでに「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった在留資格を持つ外国人が暮らしています。これらの在留資格は、仕事の種類に制限がありません。工場のライン作業でも、接客業でも、日本人と同じように雇うことができます(出入国在留管理庁「在留資格一覧表」、2026年7月時点)。

費用の違いを大まかに比較すると、次のようになります。

項目海外から呼ぶ(技能実習・特定技能)すでに日本にいる外国人を雇う
初期費用の目安30万〜90万円程度(職種・国・ルートにより差)求人広告費など、日本人採用とほぼ同じ
継続費用監理団体・登録支援機関への委託費が月2万〜5万円程度基本的になし
在留手続き別途必要原則不要(在留資格の確認のみ)
就労の制限職種・時間の制限ありなし

(費用相場はJinzai Plus・FRM Journal等の複数の業界調査を合わせた目安のレンジです。調査によって数字に幅があり、個社の見積もりは委託先によって変わります)

社長

え、監理費とか支援委託費とか、毎月かかるのか。それがいらないなら、だいぶ話が違うな。

なぜ会社はこの選択肢に気づかないのか

理由はシンプルで、営業が来ないからです。技能実習や特定技能は、送り出し機関や監理団体、登録支援機関が積極的に営業をかけてきます。一方、すでに日本にいる外国人を雇うルートには、そうした「勧めてくる人」がいません。求人は普通のハローワークや求人サイトに出すだけで、あとは待つしかない。会社側から見ると「そういう選択肢があること自体を知らない」まま終わってしまうのです。

もう一つ、求人側が外国人に開かれていないという問題もあります。日本語だけの求人票、日本人前提の面接、外国人という理由での無意識の敬遠——こうしたことが積み重なって、両者がすれ違っています。

夫が求職活動をしていたときの話

私の夫も、以前失業して仕事を探していた時期がありました。ハローワークに通いましたが、外国人可の求人自体が少なかったというのが実感です。門前払いというより、選べる求人の数がそもそも限られていた、という状態でした。

夫は淡々としていましたが、私は横で見ていて「もったいない」と感じました。就労に制限のない在留資格を持ち、日本での生活経験もある人が、単に「外国人向けの求人が少ない」という理由だけで選択肢を狭められている。これは本人の能力や意欲の問題ではなく、求人を出す側の情報不足が生んでいるすれ違いだと思います。

ここで一つ、正直な現実もお伝えします。きつい仕事・待遇の低い仕事は、在日の外国人にも選ばれません。日本での生活経験がある分、求人票の内容を日本人と同じ基準で見比べる人が多いからです。「外国人だから安く雇える」という発想では、このルートもうまくいきません。

社長

なるほど、都合よく安く済ませられる話じゃないんだな。ちゃんと「選ばれる求人」を出す側の努力もいるわけか。

外国人採用の費用を抑えるために、会社が今日からできること

  • 求人票を「やさしい日本語」で書く、または英語を併記する。専門用語や難しい言い回しを避けるだけで、届く人の数が変わります
  • ハローワークの「外国人雇用サービスコーナー」を使う。主要都市には専門の相談員がいる「外国人雇用サービスセンター」もあります(厚生労働省「外国人雇用サービスセンター等一覧」、2026年7月時点)。新宿の外国人雇用支援・指導センターのように、永住者・定住者・日本人の配偶者等の在留資格を持つ人の職業相談を専門に扱う窓口もあります
  • 在留カードを確認する習慣をつける。在留カードの「就労制限の有無」欄と在留資格の種類を見れば、その場でどんな仕事に就けるかが分かります
  • 雇用したら「外国人雇用状況の届出」を忘れずに。すべての事業主に義務づけられており、怠ると30万円以下の罰金の対象になります(厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」、2026年7月時点)
社長

要するに、遠くに探しに行く前に、まず近くで求人の出し方を見直せ、ってことか。

まとめ

  • 海外から呼ぶ前に、就労制限のない在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)を持つ外国人を雇う選択肢がある
  • 継続的な監理費・委託費がかからない分、費用の構造そのものが違う
  • 「安く済む」わけではなく、選ばれる求人を出す努力は必要

まず取るべき行動は一つです。次の求人を出すとき、求人票の言葉を一度「やさしい日本語」に直してみてください。それだけで届く相手の数は変わります。無事に採用できたあとの定着の工夫は、こちらの記事「外国人はすぐ辞める?」にまとめています。

なお、在留資格や就労制限に関する個別の判断・手続きは、行政書士等の専門家にご相談ください。本記事の情報は2026年7月時点のものです。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

夫はバングラデシュ人。結婚して30年以上、彼の家族とコミュニティのそばで暮らしてきました。長年の会社勤めを終えて、いま「バングラデシュ人材のリアル」を雇う側の目線で書いています。バングラデシュ人を雇ってよかったと思っていただけると幸いです!

目次