MENU

バングラデシュ人材のデメリットは?——夫と友人から聞いた「続かない人」の話

工場長

前に一度、外国人材で痛い目を見てね。どうせまた「バングラデシュの人はいいですよ」って良い話でしょう?

バングラ妻

いえ、今日はむしろ「続かなかった人」の話をします。良いところだけ並べても、疑っている方には届かないので。

一度受け入れに失敗した方は、次に何を勧められても身構えてしまうものだと思います。「今度こそ大丈夫」という言葉が、いちばん信じられない。その気持ちは、とてもよく分かります。

だから今日は、きれいごとを先に片づけます。バングラデシュ人材にもデメリットはあります。全員が長く続くわけではありません。——ただ、30年以上バングラデシュ人の夫と暮らし、夫やその友人たちの失敗談を数えきれないほど聞いてきたわたしの実感として、その「続かなかった理由」の多くは、雇う側が事前に知って備えておけば防げた種類のものでした。

わたしは企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきた人間で、制度の専門家ではありません。ここに書くのは夫やその周りから聞いた話が中心で、わたし自身が現場で体験したことではありません。その前提で、判断材料として読んでいただければと思います。

目次

なぜいま、バングラデシュ人材が選ばれているのか

まず「なぜ今バングラデシュなのか」を、正直な範囲でお話しします。

背景にあるのは、日本の働き手不足です。夫から聞く話でも、昔は日本人の若い人が当たり前にやっていた屋外の肉体労働を、いまは若い世代が選ばなくなってきている。その担い手が、少しずつ外国から来た人たちに移ってきている、というのが夫の周りの実感だそうです。

これは数字の面からも裏づけがあります。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出によると、日本で働く外国人労働者は2025年(令和7年)10月末時点で約257万人と、過去最多を更新しました(出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点))。外国から来た人が現場を支える場面は、確実に増えています。

工場長

で、その中でなんでバングラデシュの人が増えてるの?

ここは正直に「夫の周りで聞く話では」という範囲でお答えします。夫やその友人たちの間では、「日本はもう思ったほど稼げない」と分かって来日をためらう人が出てきていて、そのなかでバングラデシュから来る人が目立つようになってきた、という声を聞きます。

ただ、これはあくまで夫のコミュニティの体感です。国籍別に「どの国が減ってどの国が増えた」という話は、公的な統計を確認したところ、そう単純に言い切れるものではありませんでした(実際、直近の統計ではベトナムやネパールから来る人もむしろ増えています)。ですから「もう他の国の人は来ない」といった話は、このブログではしません。あくまで「バングラデシュの人が選ばれる場面が増えてきているらしい」という、伝聞の範囲でお受け取りください。

それでも「続かない人」はいる——バングラデシュ人材のデメリットの正体

ここからが本題です。バングラデシュ人材のデメリットは何か。ひとことで言えば、「合う人・続く人ばかりではない」という当たり前の事実です。

国民性が良いとか悪いとかではありません。夫はよく「日本人にも続く人と続かない人がいるでしょう。それと同じだよ」と言います。実際その通りで、外国から来た人だからと特別に美化するのも、逆に警戒しすぎるのも、どちらも実態からずれてしまいます。

夫やその友人たちから聞く「続かなかった話」は、だいたい次の3つのパターンに整理できます。

続かなかったパターン何が起きたか誰にでも起きうるか
①仕事がつらくて辞める想像していた以上に体力的・精神的にきつく、離職日本人の若手にも同じことが起きる
②体調を崩して雇い主を困らせる「大丈夫」と言っていたのに、実は無理をしていた信仰や事情を言い出しにくい空気が背景
③長く働くチャンスを逃す続けるのに必要な準備を、本人が聞いていなかった説明とフォローの有無で大きく変わる
工場長

うちで辞められたのも、たしかに①みたいな感じだったわ。

そうなんです。そして重要なのは、この3つとも「バングラデシュ人だから」起きたわけではない、ということです。次の章で、ひとつずつ、雇う側にできる備えとセットで見ていきます。

失敗パターン3つと、雇う側ができる備え

①「仕事がつらくて辞める」——これは外国人特有ではない

夫の友人にも、来日して現場に入ったものの、思っていたよりずっときつくて辞めてしまった人がいるそうです。

ただ、これは冷静に考えると、外国から来た人に限った話ではありません。日本人の若い人が屋外の肉体労働を選ばなくなっているのと、根っこは同じです。「きつい仕事は続きにくい」——それは国籍と関係ない、人間として当たり前のことだと思います。

だから備えも、特別なことではありません。仕事の実際のきつさを採用前に正直に伝えておくこと。最初の数週間を一人にせず、相談できる相手を必ず一人つけること。この2つだけでも、離職はかなり減ると夫は言います。仕事の教え方そのものについては、別の記事にまとめています。

②「大丈夫」を鵜呑みにしない——断食で倒れてしまった話

これは夫が友人から聞いた話です。あるバングラデシュの人が、雇い主に「宗教はゆるく守っているので、仕事に支障はありません」と伝えていたそうです。ところが実際には、断食月(ラマダン)の期間中、周りに言わずにこっそり断食をしていた。そして日中の作業で倒れてしまい、雇い主をとても慌てさせてしまった、という話でした。

ここで、その人を責めるのは違うと思うのです。本人は職場に気を使って「大丈夫」と言った。でも信仰はその人にとって大切なもので、たとえ隠れてでも守りたかった。その気持ちは、責められるものではありません。

バングラ夫

本当は言いたくても、言えないんだよ。「迷惑をかける人」だと思われたくないから、つい「大丈夫」って言っちゃう。

問題は、本人の性格でも信仰でもなく、雇う側の2つの油断にあります。

ひとつめ。「ゆるくやっているから大丈夫」という本人の申告を鵜呑みにして、計画を立ててしまうこと。ここで大事な事実を間違えないでください。断食中は、日中は食べ物だけでなく水も口にできません。ですから断食月の時期は、「この人は断食しているかもしれない」という前提で、日中の水分補給ができない・脱水のリスクがあるものとして配置を考えておくのが安全です。日没後すぐに飲食できる休憩を用意しておく、夏場は特に無理のない配置にする、といった備えです。

ふたつめ。そもそも、本人に「大丈夫」と言わせてしまう空気——信仰のことを正直に言い出しにくい職場の雰囲気——のほうを変えることです。「断食するなら言ってね、その前提で組むから」と雇う側から先に言えるかどうか。ここが分かれ目です。断食月中の働き方については、別の記事で詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

③長く働くチャンスを逃す——「見通し」を最初に伝えているか

3つめも、夫から聞いた話です。せっかく日本に来て真面目に働いていたのに、長く働き続けるチャンスを逃してしまった人がいる、と。

日本で外国から来た人が長く働き続けるには、日本語の力を伸ばし、資格のステップを上げていく必要がある仕組みになっています(制度の細かい名前や手続きは、ここでは踏み込みません)。ところがその人は、「日本語や資格の勉強を続ける必要がある」ということ自体を、最初に誰からも聞いていなかったそうです。結果として準備が間に合わず、長く働ける道を選べなかった。

工場長

それは本人だけの責任にはできないわね……。

わたしもそう思います。これは「本人が怠けた」という話ではなく、最初に見通しを伝えていなかったという、受け入れ側の問題でもあります。

そしてここは、雇う側にとっても実利のある話です。「この仕事を長く続けるには、日本語をこのくらいまで、資格をこの段階まで上げていく必要がある。その勉強はうちも支援する」——これを入り口で本人に伝え、勉強を後押しする職場は、結局いちばん人が定着すると夫は言います。せっかく育てた人に長くいてもらえるかどうかは、この最初の説明にかかっている、ということです。

なお、資格やビザに関する個別の手続きは、専門家(行政書士など)の領域です。ここでは「そういう仕組みがある」という一般的な話に留めます。

バングラデシュ人材のデメリットは、多くが「事前に備えれば防げる」

ここまで、3つの失敗パターンを見てきました。あらためて並べると、こうなります。

  • ①つらくて辞める → 仕事のきつさを正直に伝え、最初に相談相手をつける
  • ②「大丈夫」を信じて倒れる → 断食などの事情を言いやすい空気を作り、脱水前提で配置する
  • ③長く働くチャンスを逃す → 続けるための見通しを最初に伝え、勉強を支援する

こうして見ると、どれも「バングラデシュ人だから起きたこと」ではなく、「事前に知って備えておけば、かなり防げたこと」だと分かっていただけると思います。デメリットは、確かに実在します。でもその多くは、相手の国籍の問題ではなく、受け入れる側の準備の問題なのです。

工場長

要するに、良い人を引くかどうかの運じゃなくて、こっちの備え次第ってことね。

バングラデシュ人材にもデメリットはある。全員が続くわけではない——それは事実です

  • ただし「続かなかった理由」の多くは、①きつさ ②言い出しにくい空気 ③見通しの説明不足 という、雇う側が備えられる部分にある
  • 国籍や信仰を責めても定着にはつながらない。責める代わりに「防ぐ」に切り替えるのが近道

次の一歩として、すでに一度失敗された方には、定着そのものをテーマにした記事「外国人はすぐ辞める?」を読んでみてほしいです。今日お話しした「備え」を、もう少し具体的な形で整理しています。


※この記事の内容は、バングラデシュ人の夫やその友人たちから聞いた話と、公表されている統計(2025年10月末時点・厚生労働省)をもとにしています。個別の在留資格や申請のお手続きについては、行政書士などの専門家にご相談ください。制度は変わることがあるため、最新の情報は出入国在留管理庁など公式の情報をご確認ください。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

夫はバングラデシュ人。結婚して30年以上、彼の家族とコミュニティのそばで暮らしてきました。長年の会社勤めを終えて、いま「バングラデシュ人材のリアル」を雇う側の目線で書いています。バングラデシュ人を雇ってよかったと思っていただけると幸いです!

目次