「外国人材を受け入れることになったけど、食材はどこで手に入れるんだろう?」「うちは地方だから、そもそも売っている店がないのでは?」——受け入れ準備を任された総務の方から、こういう心配をよく聞きます。
総務さんうちは地方だし…食材が買えなかったらどうしよう。報告書にも書かなきゃいけないのに。
ハラルフード(イスラム教のルールで食べてよい食材)は、実店舗・ネット通販・宅配の3つのルートで手に入ります。地方でもネット通販と宅配があるので、まず入手できないことはありません。 そして受け入れ側にできる一番いい支援は、「全部お膳立てする」ことではなく、本人が慣れるまでの最初だけ、買い方の手助けをしてあげることです。私はバングラデシュ人の夫と30年以上暮らし、企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきました。その両方の目線でお話しします。
なお、ハラルとは何か・職場での食事対応の基本は別の記事にまとめています。先にそちらを読むと、この記事の内容がぐっと分かりやすくなります。
ハラルフードはどこで買える?入手ルートは大きく3つ
「ハラルフード どこで買える」と検索した方に、まず全体像をお見せします。入手手段は、大きく次の3つです。
| ルート | どんなもの | 向いている人・場面 |
|---|---|---|
| ①実店舗(ハラルフード専門店) | 都市部や外国人が多く住む地域にある専門店。生鮮・肉・スパイス・米などが揃う | 自分で見て選びたい人、まとまった量を買いたい人 |
| ②ネット通販 | 「ハラルフード 通販」で検索すると複数のサイトが見つかる。全国どこへでも届く | 近くに店がない人、地方在住の人 |
| ③店・業者からの宅配・配送 | 専門店が注文を受けて自宅まで届けてくれる仕組み。地域によってある | 車を持たない人、忙しくて店に行けない人 |
大事なのは、この3つを組み合わせて使えるということです。「近くに店がないから詰んだ」ということにはなりません。次から一つずつ見ていきます。
①実店舗——都市部や外国人が多い地域にある
ハラルフードの専門店は、都市部や、外国人労働者・留学生が多く住む地域に点在しています。肉類(処理方法がルールに沿った鶏・牛など)、スパイス、豆、米、冷凍食品まで、母国の味に近いものが一通り揃います。
ここで、わが家の話を一つ。
夫がハラルフードのお店で買い物をするのに、私も同行したことがあります。 店内には母国で見慣れたであろう食材が並び、夫は慣れた様子で選んでいました。夕方だったのですが、店員さんがお客さんから注文を受けて、宅配の手続きをしているのを見かけました。その光景を見て、私はふと思ったのです。——異国の地で、母国の食材がこうして手に入るのは、どれだけ心強いだろうな、と。
日本で暮らす私たちには当たり前の「近所で食材を買う」ということが、海外から来た人にとっては、そう簡単ではありません。だからこそ、こういうお店の存在は、単なる買い物以上の意味を持っているように、私には見えました。
受け入れ側(総務)ができることとして、まずは近隣にこうした実店舗があるかを調べておくと、本人が来日したときに案内できます。「この駅の近くに、こういうお店があるみたいだよ」の一言があるだけで、本人の安心感はまるで違うはずです。



母国の食材が手に入るって、思った以上に心強いことなんですよね。
②ネット通販——地方でもハラルフードは買える
「うちは地方だから、そもそも売っている店がない」——これが、受け入れ準備でよく出る心配です。でも、ここは安心してください。今はネット通販があります。
「ハラルフード 通販」で検索すると、複数のサイトが見つかります(特定のサイト名はここでは挙げません。ご自身で検索して、品揃えや送料を見比べてください)。米や豆、スパイス、レトルト、冷凍肉まで、実店舗に近いものが全国どこへでも届きます。つまり、店が近くにあるかどうかは、もう決定的な問題ではなくなっているということです。
ただし、正直にデメリットもお伝えします。
- 送料や価格は割高になりがちです。特に冷凍品や重い米などは送料がかさみます
- サイトによっては表示が日本語中心で、来日直後の人には登録や注文がハードルになることがあります
この2つ目が、まさに受け入れ側が手助けできるポイントです。



通販の登録が壁になるなら、そこを手伝えばいいのかしら?
受け入れ側(総務)ができる「手助け」の具体例
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。総務の方が報告書に書けるよう、具体的な支援策を整理します。
- 近隣のハラルフード店を調べておく … 来日時にすぐ案内できるようにしておく。
- ネット通販の「最初だけ」手伝う … 日本語サイトの会員登録、住所の入力など、一番つまずきやすい初回の手続きを一緒にやってあげる。
- 受け取り環境を確認しておく … 寮や社宅に宅配ボックスはあるか、日中の不在時に荷物を受け取れるか。冷凍品が届く場合、受け取りのタイミングは意外と大事です。冷凍庫は大きめのを準備してあげるといいですね。
- 慣れたら、本人に任せる … これが何より大切です。
最後の点を強調させてください。ここまで「手助け」と言っておきながら矛盾するようですが、最初から全部お膳立てしすぎないことも同じくらい大事です。彼らは母国では自分で買い物をして生きてきた大人です。手取り足取りやりすぎると、かえって自立を妨げてしまいます。
イメージとしては、「最初の1回だけ横で一緒にやって、あとは本人に渡す」くらいがちょうどいい。自転車の補助輪と同じで、外すタイミングまで込みで「手助け」だと私は思っています。
手助けの早見表——「どこまでやるか」の目安
| タイミング | 受け入れ側がやること | やりすぎないこと |
|---|---|---|
| 来日前 | 近隣の店・通販の選択肢を調べておく | — |
| 来日直後 | 店の場所を案内。ネット注文の初回登録を一緒に | 毎回の注文を代行してしまう |
| 慣れてきたら | 「困ったら聞いてね」と一歩引く | 良かれと思って先回りしすぎる |
この「引き際」の設計まで含めて考えておくと、本人の自立と、担当者の負担軽減の両方がかないます。



「最初だけ手伝って、あとは本人に任せる」。これならそのまま報告書に書けそう。
まとめ
- ハラルフードは実店舗・ネット通販・宅配の3ルートで入手できる。地方でもネット通販と宅配があるので「買えない」ことはまずない
- 送料・価格は割高になりがち、日本語サイトの登録がハードルになりがち、という弱点は正直に押さえておく
- 受け入れ側の役目は「全部お膳立て」ではなく、最初だけ手助けして、慣れたら本人に任せること
次の一歩として——そもそもハラルとは何か、職場の食事(社食・お弁当・飲み会)はどう対応すればいいのかは、こちらの記事にまとめています。断食月ラマダンの働き方への影響が気になる方はこちらも。
※本記事は一個人の体験に基づく内容です。宗教の実践・食材選びのレベルには個人差があります。在留資格などの個別のお手続きは、行政書士等の専門家にご相談ください。







