「特定技能で外国人を雇うことになった。でも、支援をお願いする会社なんて、どこがいいのか見当もつかない」——上司から「いい会社を調べておいて」と言われて、途方に暮れていませんか。数が多すぎて、しかもどこも「うちが一番」と言う。失敗したら自分の責任になる。そう思うと、なかなか一社に決められないものだと思います。
総務さん会社が多すぎて、正直どこも同じに見えます…
選ぶときにまず見るのは、たった2つ。「国にちゃんと登録された会社か」と「来日前に、どこまで日本語を話せるように育ててから送り出しているか」です。 料金の安さや対応の速さは、そのあとで比べれば十分です。
なぜこんなことが言えるのか。わたしの夫はバングラデシュ人で、同国の人が来日し日本の暮らしになじんでいく様子を、家族としてずっと近くで見てきました。わたし自身も企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきた立場から、「報告書として上に出せる選び方」を整理してお伝えします。
そもそも「人材会社」とは?——まず”登録支援機関”かを確認する
特定技能で人を受け入れるとき、多くの会社が頼るのが登録支援機関(特定技能外国人の生活や仕事をサポートする、国に登録された会社)です。生活のオリエンテーション、役所や銀行の同行、日本語学習の手助けといった「支援」を、会社の代わりに引き受けてくれる存在です。
ここで一番大事なのは、この登録支援機関は、出入国在留管理庁(国の役所)に登録された会社だけが名乗れるという点です。そして、登録された会社は「登録支援機関登録簿」という一覧に載り、出入国在留管理庁のホームページで誰でも確認できます(エクセルでダウンロードできます)。



え、公式サイトで名前を確認できるんですか?
そうなんです。ここが総務さんにとって一番心強いところ。パンフレットの言葉ではなく、国の一覧に名前があるかという事実で、最初のふるい分けができます。
- まず、検討している会社が登録簿に載っているかを確認する
- 載っていない会社に「支援」を丸ごと任せることはできない、と考えておく
- 登録番号を控えておけば、そのまま報告書の裏づけになる
※制度の内容は変わることがあります。2026年8月時点の情報です。最新は出入国在留管理庁の公式ページでご確認ください(記事末尾にリンク)。
費用の相場を知っておく——「安すぎ」も「高すぎ」も理由を聞く
次に気になるのがお金だと思います。登録支援機関に支援を委託すると、外国人1人あたり毎月の委託料がかかります。
目安として、1人あたり月2〜4万円ほどが一つの相場とされます(民間各社の調査による数字で、会社や契約内容によって幅があります。2026年8月時点)。このほかに、来日前の事前ガイダンスや生活の立ち上げにかかる初期費用が別途発生することが多いです。



相場を知らないと、高いのか安いのか判断できませんでした。
大事なのは金額そのものより、「その料金に何が含まれているか」です。安く見える会社ほど、あとから項目ごとに追加請求される場合があります。見積もりをもらったら、次を必ず確認しておくと報告書がぶれません。
| 確認すること | なぜ見るか |
|---|---|
| 月額に含まれる支援の範囲 | 「全部込み」か「項目ごと」かで総額が大きく変わる |
| 初期費用の有無と内訳 | 来日前教育・渡航・住居準備などが別料金のことが多い |
| 対応してくれる言語 | 本人が困ったとき、母語で相談できるかは定着に直結 |
| 支援を断られる条件 | 遠方・少人数だと受けてもらえないこともある |
相場から大きく外れて安い会社は、「なぜこの値段でできるのか」を一度聞いてみてください。きちんと答えられる会社なら、むしろ信頼できます。
夫が教えてくれた「本当の差」——来日前に、どこまで育てているか
ここで、先に制度の前提を押さえておきます。ここを知らないと、次の話が誤解されてしまうからです。
特定技能1号で来日する人は、原則として日本語の試験に合格しています。国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験のN4以上が要件です。ですから「日本語がまったく話せない人が来る」ということは、原則ありません。
ただし、ここからが大事なところです。
- 求められる水準は、そう高くありません。公式には「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度」と説明されています(CEFRのA2相当)
- 技能実習2号を良好に修了した人(2年10か月以上)は、この日本語試験が免除されます
- そして、来日前に日本語を教えること自体は、義務ではありません。試験に受かればよい、という建て付けです
(出典:出入国在留管理庁「特定技能1号のポイント」「特定技能制度に関するQ&A」。2026年8月時点)
つまり差が出るのは「教えているか、いないか」ではなく、「試験に受かる最低限で送り出すか、現場で通用する水準まで育ててから送り出すか」という程度の差なのです。
ここからが、他のサイトではあまり語られない、わが家ならではの視点です。
夫から聞いた話で印象に残っているのが、「最近は、自前で日本語学校を持って、来日する前から丁寧に教育している会社がある」というものでした。送り出す側の事情を知る立場から見て、そういう会社から来た人は、日本での立ち上がりがまるで違う、と言うのです。



来る前にちゃんと教わった人は、来てからの苦労が全然ちがうよ。
これは雇う側にとって、そのまま実利になります。来日前に言葉と生活の基礎を身につけている人は、
つまり、目先の委託料が少し高くても、来日前教育に投資している会社を選ぶほうが、結果として現場の手間と早期離職のコストを下げることがあります。料金表だけを横に並べて一番安いところに決める——これが、総務さんが一番はまりやすい落とし穴だと、わたしは思います。



なるほど、「安さ」ではなく「来日前にどこまでやるか」で見るんですね。
総務が使える「選び方チェックリスト」
上司への報告や、複数社を比べるときに、そのまま使える形にまとめます。
| 見る順番 | チェック項目 |
|---|---|
| ① まず | 出入国在留管理庁の登録簿に載っているか(登録番号を控える) |
| ② お金 | 月額に何が含まれるか/初期費用の内訳/追加請求の有無 |
| ③ 言葉 | 本人の母語で相談できる体制があるか |
| ④ 教育 | 試験に受かる最低限か、現場で通用する水準まで育ててから送り出しているか |
| ⑤ 実績 | 自社と同じ業種・規模・地域での支援経験があるか |
このうち①だけは「事実」で確認でき、②〜⑤は「質問」で見比べる部分です。全部を完璧に満たす会社を探すより、①を必須条件にして、②〜⑤で自社に合うところを選ぶ——この順番なら迷いません。
まとめ
- 特定技能の人材会社=登録支援機関は、まず出入国在留管理庁の登録簿で「国に登録された会社か」を確認する。ここは事実で裏が取れる
- 委託料の相場は1人あたり月2〜4万円ほど(会社・契約により幅あり)。金額より「何が含まれるか」を見る(2026年8月時点)
- 日本語試験(N4相当)の合格は原則必要だが、水準は「日常会話に支障がない程度」。料金だけで決めず、その最低限を超えて育ててから送り出す会社を選ぶと、現場の負担と早期離職が減る
次の一歩として、まずは出入国在留管理庁の「登録支援機関登録簿」を一度開いて、検討している会社の名前があるか確かめてみてください。それだけで、報告書の一行目が事実で埋まります。受け入れ後の生活の立ち上げについては、ハラルフードの入手や生活ルールの伝え方もあわせてどうぞ。
※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の会社の紹介・あっせんを行うものではありません。会社選びは必ずご自身でご確認ください。個別のビザ・在留の手続きについては、行政書士などの専門家にご相談ください。制度の内容は2026年8月時点のもので、変わることがあります。
出典:
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html
- 出入国在留管理庁「登録支援機関(Registered Support Organization)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00205.html
- 出入国在留管理庁「特定技能1号のポイント/特定技能2号のポイント」(日本語試験N4等・技能実習2号修了者は免除) https://www.moj.go.jp/isa/content/001425267.pdf
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q49=日本語試験の免除要件/Q94=日本語学習支援は通学の強制ではない) https://www.moj.go.jp/isa/content/930006254.pdf
- 出入国在留管理庁 会議資料「論点9 日本語能力の向上方策 関係資料」(A2相当=「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度」) https://www.moj.go.jp/isa/content/001400512.pdf








