専務「これ、やっといて」と頼んだのに、翌週見たら全然進んでいない。バングラデシュの人って、できないことも「できる」って言うのか?
バングラデシュ人の夫に聞いたところ、本に書かれていた「NOと言うのは恥」に、そうかもな…と同意していました。ただし、これはやる気の問題というより、返事の仕方の違いだと、わたしは受け止めています。はっきり「できない」と言いにくいぶん、返事の聞き方と任せ方を変えると、仕事を進めやすくなります。



「できない」とは言わずに「やってみる」と言うんだそうです。
わたしはバングラデシュ人の夫と30年以上暮らしていて、企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきました。今回は、最近読んだ本の「仕事の進め方」の節を、夫に「答え合わせ」してもらった話です。
「バングラデシュ人との仕事の進め方」を書いた本を読みました
読んだのは、『決定版 バングラデシュのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社・2026年8月18日発売)です。マンガが入っているので構えずに読めて、とても良い本でした。バングラデシュの本は少ないので全体を知りたい場合は特におすすめです。
※この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
この記事で取り上げるのは、第5章「バングラデシュビジネスへの進出」の中の、節「10 バングラデシュ人との仕事の進め方」(p.132〜133、この節の執筆は安藤裕二氏)です。わずか2ページですが、雇う側が「あれ?」と思いやすい場面が3つに絞って書かれていて、とても実用的でした。
ひとつ、お断りがあります。この章は、もともと現地に進出する日本企業に向けて書かれたものです。日本で働く人を雇う場合にそのまま当てはまるかは、みなさんが確かめる必要があります。だから今回は、いちばん身近な「バングラデシュ人」である夫に、ひとつずつ聞いてみました。もちろん、夫ひとりの感覚で全員を語ることはできません。以下は「本にはこう書いてある→夫はこう言った→もちろん人による」の順で書きます。
(本の内容は、2026年10月時点でわたしが読んだものに基づきます)
①連絡手段:バングラデシュ人との仕事はWhatsAppが基本?
本にはこう書いてあります。連絡はWhatsApp(世界中で使われているメッセージアプリ)が基本で、Facebookのメッセンジャーもよく使われる。LINEはあまり使われず、メールは返事がないこともある。会議はオンラインより対面が好まれる、という内容です。
わが家ではこうです。夫はWhatsAppを使っていて、わたしにも「使って」と言ってアプリを入れさせました。本の記述とぴったり重なります。
一方で、日本にいるバングラデシュ人は、LINEも使っています。現地の習慣と、日本で暮らす中で身につけた習慣は、少し違うのかもしれません。(これは夫の周りでの話で、全員がそうとは限りません。)
なお、会議は対面が好まれるという点は、本の記述の紹介にとどめます。わが家の体験としては、確かめていません。
職場ではこう活かせます。連絡手段は、こちらが決めて押しつけるより、本人に「ふだん何を使っている?」と聞き、会社の連絡ルールと合わせて決めるのがおすすめです。現場写真やお客様の情報は、会社が認めた方法でやりとりしてください。メールで送って返事がないときも、「無視された」と受け取る前に、別の手段で一度声をかけてみてください。



うちはLINEと電話しか使ってない。まず、何を使ってるか聞くところからか。使っていなかったらLINEを入れて欲しいな。
②大きな話をする:アピールは意欲、進み具合は別に確かめる
本にはこう書いてあります。大風呂敷を広げるのは得意で、フォローアップ(その後の追いかけ)は苦手。威勢よく計画を語っても、立ち消えになることがある。ただし、日本人が細かくフォローすれば、大胆なアイデアと組み合わさって良いコンビになりうる、とあります。
わが家ではこうです。夫は話を大きくしますし、「自分はこんなにできる」とよく言います。わたしはいつも、それを割り引いて聞いています。夫の友人たちを見ても、みんな自分の売り込みがすごいです。
謙遜するのが当たり前の感覚で育ったわたしには、正反対に感じます。これは大げさというより、「自分はやる気がある、役に立てる」と示している意欲の表れだと、いまは受け止めています。(この受け止めはわたしの解釈です。)
なお、「フォローアップが苦手」という部分は、わが家の体験では確かめていません。本の記述の紹介です。
職場ではこう活かせます。アピールは意欲として受け止めて、やる気を認める。そのうえで、進み具合は「自分で確かめる」と決めておく。この二段構えが、いちばんうまくいきそうです。本が書くとおり、大胆なアイデアに日本側の細かいフォローが加われば、強い組み合わせになるはずです。
この「プライドと自己アピール」の話は、こちらの記事(「バングラデシュ人はプライドが高い?雇うなら『まず1人』がいい理由」)でも書いています。



やる気はあるけど、進み具合は別に見る、ってことか。それなら気持ちよく任せられそうだ。
③「NO」と言うのは「恥」——仕事を頼むときの聞き方
本にはこう書いてあります。節の小見出しにもなっている「NO」と言うのは「恥」(『決定版 バングラデシュのことがマンガで3時間でわかる本』明日香出版社より)という点です。「これできる?」と聞いて任せると、仕事が進まないことがある。翌週に確認したら、全く進んでいなかった、といった例が挙げられています。対策として、指示を細かく分けること、そしてYES/NOで答えさせない聞き方を工夫することが示されています。
わが家ではこうです。夫に聞くと、この点にはそうかもしれないと言っていました。できないとは言いにくいので、はっきり「できない」とは言わずに、「やってみる」のような表現をするそうです。
なぜそうなるのか、理由まで詳しく聞いたわけではないので、ここからは推測です。メンツ(面目)や、相手をがっかりさせたくない気持ちが背景にあるのかもしれません。日本語の「検討します」が、実は断りの意味で使われることがあるのと、少し似ています。ただ、これは一般論で、夫の言葉ではありません。
では、わが家で何をしているか。本当に大事なことは、夫に復唱してもらったり、どう理解したかを声に出してわたしに言ってもらったりしています。「分かった?」と聞くだけでは、本当に分かったかどうかは確かめられません。ですから、「あなたはどう理解した?」と、相手の言葉で言い直してもらうわけです。まさに、本が言う「YES/NOで答えさせない聞き方」を、わが家でも実践していたことになります。
職場ではこう活かせます。ここからは、一般的な工夫として書きます(わが家の体験ではありません)。
- 「できる?」ではなく、「どこまで進んだ?」「どうやるつもり?」と聞く。「はい」「いいえ」で終わらない聞き方にする
- 仕事を小さく分けて、区切りごとに確認日を決める。「来週まで」ではなく、「水曜に、ここまで見せて」のように
- 大事な指示は、相手の言葉で復唱してもらう。「分かった?」ではなく「どう理解した?」と聞く
- 危険を伴う作業は、復唱だけでなく、実際にやって見せてもらって確かめる
- 「やってみる」は、「できる」の約束ではなく、「まだ分からない」の合図かもしれないと受け止める
「外国人への仕事の教え方」の記事もあわせてどうぞ。言葉の面では、「ベンガル語と語順の話」の記事のように、短い文で区切って話すことも助けになります。



要するに、疑うんじゃなくて、聞き方と確認の仕方を変えればいいんだな。
まとめ:バングラデシュ人に仕事を頼む前に、変えられる3つのこと
本の3ポイントを、雇う側の工夫に変えると、次のとおりです(一般的な工夫です)。
- 「できる?」ではなく、「どこまで進んだ?」「どうやるつもり?」と聞く
- 仕事を小さく分けて、区切りごとに確認日を決める
- アピールは意欲として受け止め、進み具合は自分の目で確かめる
もちろん、人によって違います。「バングラデシュ人はこうだ」と決めつけず、目の前の人に合わせて、頼み方を調整してください。
次の一歩は、いま頼んでいる仕事をひとつ選んで、「どこまで進んだ?」と聞いてみることです。
※この記事は、バングラデシュ人の夫を持つ日本人妻としての体験と、一冊の本の感想に基づく内容です。個別のお手続きは行政書士等の専門家へご相談ください。




