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外国人雇用の相談先はどこ?——行政書士さんと話して気づいた選び方

総務さん

外国人採用の件、上から「調べといて」と言われて。誰に何を聞けばいいのかすら分からないんです。

バングラ妻

まず全体の地図を1枚持ちましょう。相談相手を間違えると、遠回りとお金の無駄になります。

外国人雇用の相談先は、「何をしたいか」で決まります。在留資格の書類は行政書士、社会保険は社会保険労務士、特定技能の生活支援は登録支援機関、人探しは人材紹介会社。そして、全体をまず無料で聞ける国の窓口もあります。さらに、同じ資格の専門家でも得意分野は人によって違うので、相手選びで結果に差が出ます。

バングラデシュ人の夫と30年以上暮らし、企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきた私が、報告書にそのまま添えられる「相談先の地図」として整理しました。

この記事は2026年9月時点の情報です。制度は変わることがあるため、最新は記事内のリンク先(公式サイト)でご確認ください。

目次

外国人雇用の相談先 早見表——「やりたいこと」から相手を選ぶ

最初に、この記事でいちばん使ってほしい表です。

やりたいこと相談先ひとこと
在留資格(日本で働くための許可)の申請書類を作りたい行政書士報酬をもらって書類を作れるのは行政書士(と弁護士)
社会保険・雇用保険の手続き、就業規則を整えたい社会保険労務士(社労士)助成金の申請書類の作成も社労士の仕事
特定技能の人の生活支援を任せたい登録支援機関支援は任せられるが、在留資格の書類作成は仕事に含まれない
人を紹介してほしい人材紹介会社国(厚生労働大臣)の許可が必要な事業
国外に住む家族の扶養控除など、税金のこと税理士(または税務署)年末調整で書類が要る場面がある
雇った後のトラブル・もめごと弁護士法テラス(国が設立した法的トラブルの案内窓口)という入口も
まず全体を無料で聞きたい国の公的窓口在留・雇用管理の一般的な相談

(登録支援機関=特定技能の外国人を支援する、国に登録された会社。2026年9月時点)

ポイントは、表の左側(やりたいこと)から見ることです。そして「全部できます」とうたう会社があっても、法律で「その資格の人しかできない」と決まっている仕事があることを覚えておいてください。

採用の流れで見る外国人雇用の相談先——4つの段階の地図

次は時間の順番です。外国人の採用は、大きく「探す→在留資格→入社手続き→入社後の支援」の4段階で進みます。段階ごとに、出てくる相手が変わります。

①探す

  • 人材紹介会社:国の許可を受けて人を紹介する会社。許可の有無は厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で調べられます
  • 送り出し機関(海外で人を集めて送り出す機関):バングラデシュの場合、利用は任意で、使うなら政府が認めた機関に限られます(出入国在留管理庁「バングラデシュに関する情報」)
  • ハローワーク:すでに日本に住んでいる外国人を雇うなら、求人を出す道もあります

→人材会社・登録支援機関の選び方はこちらの記事へ、日本に住む外国人を雇う選択肢はこちらの記事へ

②在留資格:書類づくりを外部に頼むなら、相手は行政書士です。会社や本人が自分で書類を作り、窓口に出すこともできます。→特定技能の制度そのものはこちらの記事へ

③入社手続き:社会保険・雇用保険の手続きは、日本人を雇うときと同じく社労士の出番です。→外国人の社会保険・年金の手続きはこちらの記事へ、使える助成金はこちらの記事へ

④入社後の支援:特定技能1号の人を雇う場合、会社は「支援計画」に沿った生活・仕事の支援をしなければなりません。この支援は、登録支援機関に全部委託することもできます(出入国在留管理庁)。→委託費を含めた初年度の費用はこちらの記事へ

なお、技能実習の監理団体は、育成就労制度(一部の規定を除き2027年4月1日施行)で「監理支援機関」に変わり、続けるには新たな許可が必要です(出入国在留管理庁)。

総務さん

行政書士さんなら、誰に頼んでも同じじゃないんですか?

同じ資格でも得意分野が違う——行政書士さんと話して気づいたこと

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

先日、ある行政書士さんとお話しする機会がありました。そこで知ったのが、行政書士にも、人によって得意な分野があるということです。

誤解のないように書くと、行政書士という資格は1つです。「外国人専門の行政書士」という別の資格があるわけではありません。ただ、行政書士が扱える書類はとても幅広く、実際には、人によって力を入れている分野が違います。

たとえば税理士さんにも、相続に強い人、会社の税金に強い人がいます。専門外のことを聞くと、詳しくないこともあるでしょう。それと同じことが行政書士にもある、と気づいたのです。

この話を聞くまで、行政書士さんに得意分野の違いがあるとは知りませんでした。

制度として区別できるのは、1点だけです。「申請取次」の届出をしているかどうか。申請取次とは、本人に代わって申請書類を窓口に出せる仕組みです。行政書士の場合、日本行政書士会連合会などの研修を修了し、所属の行政書士会を通じて出入国在留管理局に届け出る必要があります(日本行政書士会連合会・出入国在留管理庁)。一般に「申請取次行政書士」と呼ばれます。

相談先を選ぶときに、そのまま使える質問の例です。

行政書士に聞くこと

  • 外国人の在留資格の申請は、どれくらい扱っていますか
  • 特定技能(わが社の分野)の申請を扱ったことはありますか
  • 申請取次の届出はありますか
  • 報酬に含まれる範囲はどこまでですか(更新のときの費用も)

社労士に聞くこと

  • 外国人の社員の社会保険の手続きを扱ったことはありますか
  • 本人への説明資料(やさしい日本語・多言語)の相談にも乗ってもらえますか

登録支援機関に聞くこと

  • 在留資格の書類は、誰が作りますか(行政書士が担当するなら、その報酬は誰に払う形ですか)
  • 対応できる言語は何ですか

特定の事務所をおすすめすることはしません。ここで大事なのは名前ではなく、質問への答え方です。具体的に答えられる相手ほど、その分野を扱っていると考えてよいと思います。

1社に丸投げする落とし穴——「書類もうちでやります」に注意

総務さん

全部まとめて1社に頼めたら楽なのに。それじゃダメなんですか?

窓口を1つにしたい気持ちは分かります。支援の全部委託自体は、制度上できます。

ただし、「在留資格の書類もうちで作ります。支援費に込みです」と言われたら、立ち止まってください。

2026年1月1日、改正行政書士法が施行されました。条文に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という言葉が加わり、行政書士でない人が報酬をもらって書類を作ることは、はっきり禁止されました(ほかの法律に定めがある場合などの例外はあります)。総務省・日本行政書士会連合会の周知では、「手数料」や「コンサルタント料」などどんな名目でも、対価を受け取って役所に出す書類を作るのは違法という、もともとの解釈を条文に明示した、と説明されています。

日本行政書士会連合会も、登録支援機関が報酬を得て入管に出す書類を作ることは行政書士法違反だと以前から示しています。「支援費に込み」でも同じ、というのが改正の趣旨です。

混同しやすい点を1つ。書類を窓口に「出す」ことと、書類を「作る」ことは別です。登録支援機関の職員も、承認を受ければ申請書類の提出を取り次げる場合があります(出入国在留管理庁「申請等取次制度」)。問題になるのは、報酬を得て書類を「作る」ほうです。

丸投げのデメリットをまとめます。

  • 書類の作り手があいまいになる:見積りに「書類作成」が入っていたら、誰が作るのかを必ず確認する
  • 会社の責任は消えない:支援を全部委託しても、支援計画を作るのは受け入れる会社側で、雇い主であることも変わらない
  • 書類の不備は手続きに響く:書類の不備などで申請が差し戻しになる可能性を、受け入れ企業向けに注意喚起している自治体もあります

なお、会社自身が自分の会社の書類を作ることは自由です。「全部を専門家に頼まなければいけない」という意味ではありません。

まず無料で聞ける外国人雇用の相談先——国の公的窓口

専門家にお金を払う前に全体を聞きたいなら、国の窓口から始める手があります。

窓口何を聞けるか費用
外国人在留総合インフォメーションセンター(出入国在留管理庁)出入国・在留手続きの一般的な案内。電話・窓口・メール、多言語対応公式ページで確認を(電話は通話料がかかります)
外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)(東京・四谷)国の窓口が集まった施設。在留相談、労務管理の相談、就職支援など。企業の相談も対象無料
外国人雇用管理アドバイザー(ハローワーク経由)採用の考え方、日本語が苦手な人への教え方、給与体系・雇用契約・就業規則の注意点など無料
外国人雇用サービスセンター(東京・名古屋・大阪・福岡)事業主の雇用管理の相談。職業紹介は専門職の外国人・留学生向け国の機関の窓口(詳細は各窓口で確認)
ハローワーク国内に住む外国人の求人国の機関の窓口(詳細は各窓口で確認)

(2026年9月時点。「無料」は公式ページに無料と明記されているものです。電話の通話料は別)

外国人雇用管理アドバイザーには、最寄りのハローワークに申し込んで相談できます(厚生労働省)。会社まで来てもらえるかどうかは、申し込むハローワークで確認してください。「うちの規模で外国人を雇うなら、何から考えればいいか」という段階の相談に向いています。

ただし、公的窓口にも限界があります。

  • 一般的な案内が中心で、「うちの場合、許可が出ますか」という個別の見通しには答えてもらえません
  • 書類を作ってくれるわけではありません

おすすめの順番は、公的窓口で全体像をつかむ→得意分野を確かめて専門家を選ぶです。

総務さん

要するに、まず無料の窓口で全体を聞いて、得意分野の合う専門家を選べばいいんですね。

バングラ妻

そうです。報告書には、この地図を1枚添えてください。

まとめ

  • 外国人雇用の相談先は「やりたいこと」で決まる。在留資格の書類=行政書士、社会保険=社労士、特定技能の支援=登録支援機関、人探し=人材紹介会社
  • 同じ資格でも得意分野は人によって違う。「外国人の在留資格をどれくらい扱っているか」「申請取次の届出はあるか」を聞いてから選ぶ
  • 1社に丸投げするときは「書類を誰が作るか」を確認する。2026年1月施行の改正行政書士法で、名目を問わず報酬を得た書類作成の禁止が明確になった

まずやることは一つです。上の早見表を印刷して、まず無料の公的窓口に「うちの場合、何から始めればいいか」を聞いてみてください。そのうえで専門家に見積りを取るときは、費用の全体像をこちらの記事「特定技能の費用は総額いくら?」で確認しておくと、話が早く進みます。

この記事は2026年9月時点の情報です。個別の在留資格の手続きは行政書士等の専門家へ、社会保険・助成金の個別の手続きは社会保険労務士等の専門家へご相談ください。当ブログは人材の紹介・あっせんや申請の代行はしていません。特定の事務所・会社をおすすめするものでもありません。

出典(いずれも2026年9月26日時点で確認)

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この記事を書いた人

夫はバングラデシュ人。結婚して30年以上、彼の家族とコミュニティのそばで暮らしてきました。長年の会社勤めを終えて、いま「バングラデシュ人材のリアル」を雇う側の目線で書いています。バングラデシュ人を雇ってよかったと思っていただけると幸いです!

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