社長新聞で「人手不足倒産」という文字を見るたびに、心臓に悪いんだよ。求人を出しても、もう半年ずっと応募ゼロだ。
人手不足で会社がたたまれる件数は、調査会社の集計で実際に増えています。ただ、同じ時期に、外国から来た人を雇って現場を回している会社も過去最多になっています。倒産の数字だけを見て、先に諦めてしまう必要はありません。
私はバングラデシュ人の夫と30年以上暮らし、企業で35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきました。制度の専門家ではありませんので、この記事では公表されている数字と、身の回りで見聞きしたことを、範囲を区切ってお伝えします。
人手不足倒産は本当に増えているのか——調査会社の数字を確かめました
まず、不安の正体を数字で確かめておきます。以下はいずれも民間の調査会社が公表しているものです。国の統計ではありませんが、報道でも広く引用されている一次情報です(2026年8月時点で確認できた最新の公表分)。
| 調査会社 | 対象期間 | 人手不足倒産の件数 | 前年との比較 |
|---|---|---|---|
| 東京商工リサーチ | 2026年上半期(1〜6月) | 237件 | 前年同期比37.7%増 |
| 帝国データバンク | 2025年度(2025年4月〜2026年3月) | 441件 | 前年度(350件)の約1.3倍 |
東京商工リサーチによると、2026年上半期の「人手不足」倒産は237件。上半期としては調査を始めた2013年以降で初めて200件台に乗り、3年連続で最多を更新しました。内訳で目立つのは「人件費高騰」を理由とするもので、120件と前年同期の2.4倍に増えています(出典:東京商工リサーチ、2026年7月公表)。
帝国データバンクの集計では、2025年度の人手不足倒産は441件で過去最多。業種別では建設業が112件と全体の25.4%を占め、道路貨物運送業55件、老人福祉事業22件、飲食店21件と続きます(出典:帝国データバンク、2026年4月9日公表)。
2社は集計の対象期間も定義も違うので、単純に足したり比べたりはできません。ただ、どちらも「増えている」「最多を更新した」と言っている点は共通しています。社長が感じている不安は、気のせいではありません。



やっぱりか……。しかも人件費が上がって潰れる、っていうのがこたえるな。
人手不足倒産の対策として、外国人材はもう特別な話ではありません
ここからが本題です。倒産が増えている一方で、静かに増えているもう一つの数字があります。
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点、令和8年1月30日公表)によると、日本で働く外国人労働者は2,571,037人。そして、外国人を雇っている事業所は371,215カ所にのぼります。どちらも、届出が義務化された2007年以降で過去最多です(出典:厚生労働省)。
37万カ所。この数字が意味するのは、外国人を雇うことが、一部の先進的な大企業だけの話ではなくなっているということです。
知人が、現場の方から聞いたという話
数字だけだと実感が湧かないと思うので、一つだけ聞いた話を書きます。
仕事で大手企業の製造業の現場に出入りすることがある知人がいます。その知人が訪問先の方と話していたときに、「うちにもバングラデシュから来た人が働いている」と教えられたそうです。見た目でそう思ったのではなく、現場の方がそう話してくださったということです。
これは私自身が見たわけではなく、知人から聞いた話です。何カ所のうち何カ所で、といった数を数えたものでもありません。一人が仕事で立ち寄った範囲の見聞きは、全国の統計とは母集団がまったく違います。ですから「だから全国的にこうだ」と言うことはできません。
それでも私が驚いたのは、夫と暮らし始めた30年以上前には、まず考えられなかった話だからです。当時、日本の大手企業の工場でバングラデシュから来た人が働いているという話を聞くことは、ほとんどありませんでした。中小企業や下請け会社で働いている人がほとんどでした。統計の方向と、聞いた話の方向がそろっている——私が受け取ったのは、その程度の手応えです。断定ではありません。



いや、それでも十分だよ。「うちが最初の一社目じゃない」ってことだろう。
「うちには関係ない」と思う社長へ——人手不足倒産の対策は中小企業こそ現実的です
「大きい会社だからできるんだろう」と思われるかもしれません。ですが、37万カ所という事業所の数は、大企業の数だけでは説明がつきません。
とはいえ、いいことばかりを書くつもりはありません。正直な注意点も並べておきます。
- すぐには人は来ません。海外から呼ぶルートは、手続きに数か月単位の時間がかかります。「今月中に人がほしい」という切迫には応えられません
- 費用はゼロではありません。ルートによっては、初期費用のほかに毎月の委託費が継続的にかかります
- 安く雇うための手段ではありません。同じ仕事なら同じ賃金が原則です。「人件費が上がって苦しいから外国人を」という入り方が、いちばん失敗しやすいと思います
- 入れて終わりではありません。受け入れたあとの教え方や生活の支え方を用意しないと、せっかく来た人が辞めてしまいます。この点は別の記事に詳しく書きました。



夫を見ていて思うのは、「外国人だから」ではなく「新しく入った人だから」の丁寧さが要る、ということです。
人手不足倒産の対策として、社長が今週できること
倒産という言葉は重いですが、今から動けば間に合う会社はたくさんあります。順番としては、次の3つで十分だと思います。
- 費用の相場を知る。いちばん多い誤解が「外国人採用は高い」です。どのルートを選ぶかで費用の構造そのものが変わるので、まずここを押さえてください。費用の比較表を別の記事に載せています。
- 今の求人票を読み返す。難しい言い回しを減らす、写真を入れる、仕事の中身を具体的に書く。それだけで届く相手の数が変わります
- 相談先を一つ決めておく。在留資格や申請のお手続きは、会社が独学で進めるところではありません。行政書士など専門家の入口を先に確保しておくと、いざ動くときが早くなります



要するに、まず費用を知って、求人票を書き直して、相談先を決める。それなら今週のうちにできるな。
まとめ
- 人手不足倒産は、東京商工リサーチが「2026年上半期として」、帝国データバンクが「2025年度として」、それぞれ過去最多を更新しています(いずれも民間調査会社の集計。2026年8月時点)
- 同じ時期に、外国人を雇っている事業所も37万カ所を超えて過去最多。もう特別な会社だけの選択肢ではありません
- ただし「すぐ来る」「安く雇える」は誤解です。時間と費用、そして受け入れたあとの手当てが要ります
次の一歩は、費用の全体像を知ることです。「外国人採用の費用は近所で下がる——海外より先に検討したい話」を読んでみてください。数字が見えると、不安はだいぶ小さくなります。
※この記事の数字は、2026年8月時点で公表されていた資料をもとにしています。東京商工リサーチ・帝国データバンクは民間の調査会社であり、集計の定義や対象期間は各社で異なります。制度や統計は更新されるため、最新の情報は各公表元をご確認ください。個別のお手続きは、行政書士等の専門家にご相談ください。







