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外国人の生活ルール、最初に何を伝える?——わが家で気づいたこと

「仕事のルールは教えたけれど、生活のことまでは考えていなかった」——外国人材の受け入れ準備を任された方から、こんな声が聞こえてきそうです。住まいは手配した。でも、その先の暮らし方は誰が教えるのか。

総務さん

住まいの手配はしたけど…ごみ出しのことなんて、考えてもいなかったわ。

ごみ出し・音・共用部分・挨拶といった生活ルールは、受け入れた側が最初に「書いて渡す」ところまでやってあげるのが、結局その人を守ることになります。本人は知らないだけで、知ればルールを守れます。そして近隣トラブルは、本人の評判と職場への定着に直結します。

私はバングラデシュ人の夫と30年以上暮らし、企業でも35年以上、事務と情報管理の仕事をしてきました。夫やその友人たちと過ごす中で気づいた、見落とされがちな「生活の入口」の話です。

目次

なぜ外国人の生活ルールは教え忘れられるのか

総務さん

たしかに「会社の仕事」だとは思っていなかった…。

まず、仕組みの話からお伝えします。生活ルールが抜け落ちるのは、担当者が不親切だからではありません。誰の担当でもなくなりやすいからです。

仕事のことは、会社が教えます。これははっきりしています。ところが生活のことは、「家庭のこと」「本人のこと」として、会社の外側に置かれがちです。住まいを会社が用意するケースでは特に、この「あいだ」に落ちる部分が生まれます。鍵は渡した、家具もそろえた、でもごみの出し方は誰も言っていない——そういうことが起こります。

もう一つ、根っこにあるのが「言わなくても分かるだろう」という思い込みです。日本で育った人にとって、ごみを分別するのも、夜は静かにするのも、あまりに当たり前で、わざわざ教えることだと感じにくい。でも当たり前は、育った国が違えば当たり前ではありません。本人が知らないのは、不真面目だからでも、ルーズだからでもなく、単にまだ教わっていないからです。

ここを「外国人はルールを守らない」と受け取ってしまうと、こじれます。正しくは「知らないだけ。知れば守れる」。この前提に立てるかどうかで、その後の受け入れの空気がまるで変わります。

最初に伝えるべき外国人の生活ルール一覧(報告書に転用できる形で)

では、具体的に何を最初に伝えればいいのか。総務の方がオリエン資料や報告書にそのまま写せるよう、表にまとめます。

項目伝えるべき中身ひとことポイント
ごみ出し分別の種類/出す曜日と時間/出す場所自治体ごとに全く違う。ごみカレンダーを1枚渡すのが最短
夜(目安21〜22時以降)は話し声・音楽・足音を控えめに日本の集合住宅は壁が薄く、夜がとても静か、と理由もセットで
共用部分廊下・ベランダの使い方、自転車置き場、ごみ置き場のマナー私物を置きっぱなしにしない、が基本
挨拶引っ越し時のひとこと、普段の「こんにちは」これだけで近所の印象が大きく変わる。コストゼロの防御策

この4つは、どれも「知っていれば守れる」ものばかりです。難しいことは一つもありません。ただ、日本で暮らした経験がなければ知りようがないことばかりでもあります。

特にごみ出しは、日本人でも引っ越すたびに戸惑います。分別のルールも、出せる曜日も、市区町村によって本当にバラバラだからです。ここは口で説明しても覚えきれないので、自治体が配っている多言語版のごみ分別表ごみカレンダーを手に入れて渡すのが確実です。多くの市区町村が、やさしい日本語や外国語版の生活ガイドを用意しています。(お住まいの自治体のものを窓口やホームページで探してみてください)

「にぎやかさ」は悪気ではない——わが家で感じたこと

総務さん

注意したら角が立ちそうで、言いにくいのよね…。

音のことは、少していねいにお話しさせてください。

私はよく、夫と一緒に、夫の友人のお宅へ呼ばれます。子供たちも一緒で、楽しくて、つい遅い時間まで過ごすことがあります。みんなで声が大きくなる場面もあって、私は内心「近所迷惑になっていないかな」と、そっと心配になることがあります。

ここで誤解してほしくないのですが、彼らに悪気があるわけではまったくありません。家族ぐるみで、子供も一緒に、にぎやかに人を招く——これは、人をもてなすことをとても大切にする、温かい文化です。母国では、それがごく普通の、むしろ良いこととされる過ごし方なのだと思います。

問題があるとすれば、それは文化ではなく、日本の住宅事情を知らないだけだということです。日本の集合住宅は壁が薄く、夜はしんと静かになる。この感覚は、実際に日本で夜を過ごしてみないと、なかなか伝わりません。「うるさい」のではなく、「この国の夜は静か」という一点を知らないだけなのです。

だからこそ、責める前に先に伝えてあげるのが親切だと私は思います。「日本ではこのあたり、夜は静かにする習慣があるんですよ」と一度伝えておけば、たいていはそれで足ります。本人だって、知らずに近所から白い目で見られるのは、いちばん望んでいないことのはずですから。伝えることは、その人を守ることです。

バングラ夫

知らずに近所から白い目で見られるのが、本人には一番つらいんだよ。

伝え方の工夫——口で言うより「書いて渡す」

何を伝えるかが決まったら、次は伝え方です。ここは以前、仕事の教え方についても書いたことと同じです。口頭だけで済ませない。これに尽きます。あわせて外国人への仕事の教え方の記事もどうぞ。

  • 書いて渡す:ごみカレンダー、生活ルールのメモを紙で渡す。音声は消えますが、紙は残ります。本人が自分のスマホで翻訳して読み返せるのも大きい
  • 理由をセットにする:「夜は静かに」だけでなく「壁が薄いから」と理由を添える。理由が分かると、人は納得して守れます
  • 自治体の資料を活用する:多言語のごみ分別表ややさしい日本語の生活ガイドを配っている市区町村が多いので、ゼロから作らず、あるものを渡す
  • 一度でいい:「日本ではこうなんですよ」と一度説明すれば足りることがほとんど。何度も言い続ける必要はありません

生活の立ち上げは、食のことも含めて、最初のひと手間が後をずっと楽にします。食材の手助けについてはハラルフードはどこで買えるかの記事で書きました。

気をつけたい落とし穴——正直なところ

きれいごとだけでは終われないので、注意点も正直にお伝えします。

  • 一度で全部は覚えられない:ごみ分別は日本人でも間違えます。最初は間違って当たり前、くらいの気持ちで。一度で完璧を求めない
  • 細かく言いすぎない:あれもこれもと注意しすぎると、監視されているように感じさせ、かえって信頼を損ないます。最初に大事な数点だけ、が正解です
  • 文化を否定しない:「にぎやかなのはダメ」という伝え方は避けてください。否定されたと感じると心を閉じます。「この国の夜は静か、というだけ」という枠で伝えること

この三つを外さなければ、生活ルールの共有は、相手を縛るものではなく、相手を守るものになります。

総務さん

4点だけ、書いて渡す。オリエン資料に入れておきます。

まとめ

  • 生活ルールは「誰の担当でもない」ために抜け落ちやすい。住まいを会社が用意するなら、そこは総務の出番です
  • 最初に伝えるのはごみ出し・音・共用部分・挨拶の4点。ごみカレンダーなど自治体の資料を「書いて渡す」のが確実
  • にぎやかさや戸惑いは悪気ではなく「知らないだけ」。理由とセットで一度伝えれば、たいていは守れます

次の一歩として、お住まいの市区町村のホームページで外国語版・やさしい日本語版の生活ガイドが配布されていないか、一度探してみてください。多くの場合、報告書に添付できる資料がそのまま見つかります。


※この記事は、バングラデシュ人の夫を持つ日本人妻の体験と一般的な情報にもとづくものです。生活ルールや自治体の制度は地域によって異なります。具体的な手続きや制度については、お住まいの自治体・専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

夫はバングラデシュ人。結婚して30年以上、彼の家族とコミュニティのそばで暮らしてきました。長年の会社勤めを終えて、いま「バングラデシュ人材のリアル」を雇う側の目線で書いています。バングラデシュ人を雇ってよかったと思っていただけると幸いです!

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